胃や大腸の内視鏡検査(カメラ)は必ずしも楽な検査ではありませんが、私たちは患者さんにできるだけ苦しくないように検査を受けてもらおうと努力しています。
欧米では全身麻酔を使うこともあるようですが、完全に意識がない状態での検査はむしろ危険が増すのではと心配です。
必要な場合には鎮静剤や鎮痛薬を使うこともありますが、これらも検査後の眠気や健忘、そして時にはもっと重大な副作用があるため私たちはその使用をではできるだけ避けたいと考えています。
そこで私たちは薬の変わりに、
   
1.苦痛を与えない優しい器機の操作
   2.最小限の検査時間で必要な情報を得ること
   3.患者さんにリラックスしてもらうこと
 
                   
を心がけています。
中でも私たちが『言葉の麻酔』と呼んでいる話しかけることによるリラクゼイションには大きな効果があります。
そこで、検査を受けられる方への私の決まり文句の一部をご紹介します。
内視鏡検査を受ける機会があれば思い出していただければ幸いです。


胃カメラ(内視鏡検査)

 検査の前に・・・

「“まな板の上の鯉、好きにしてくれ!”くらいに思って体の力を抜いて下さい。
 そうすれば比較的楽に検査が受けられますよ。」

「カメラが喉を越すとき“何が起きた!!”とビックリされるかもしれませんが、
 ちゃんと息はできるし声も出るので安心していてください。」

「首や肩に力が入っていると検査をする方、される方のどっちもが苦しくなります。」

「もし苦しくなったら大きな溜め息をつくように肩と首の力を抜いてみてください。
 楽になりますよ。」

 検査の後で・・・

「この検査は一回目より二回目、三回目と回を重ねる毎に楽に受けられますよ。」

「回を重ねると心と体の準備ができてある種のコツを覚えていただけます。」

「年齢を重ねるほど高齢の方ほどこの検査は楽に受けられます。」
 
■大腸内視鏡検査

 検査の前に・・・

「大腸には喉がないのでゲーッとならず胃カメラよりずっと楽にできますよ。」

大腸検査中にモニターで一緒に観察してもらいながら・・・
「腸の中って思っていたよりずっときれいでしょ。」

 検査の後で・・・

「考えていたよりずっと楽な検査でしょう。」
 

 
Q1 どんなときに胃の検査を受ければよいでしょう?  
  • 自覚症状がなくても胃の検査は1年に1回は受けましょう。
  • 胸焼け、腹痛、胃のつかえ感、吐き気などの自覚症状が続く
    とき、治療しても改善しないとき。
  • 近親者に若くして胃ガンを発症した方がおられるならば若い方でも検査を受けましょう。  
  • 喫煙、飲酒をなさる方は食道ガンを見落とさないため内視鏡検査をお勧めします。
  • 胃、十二指腸潰瘍の方は治癒確認の内視鏡検査を受けましょう。
2 どんなときに大腸の検査を受ければよいでしょう?  
  • 便秘と下痢を繰り返す、便に血液が混じる、お腹に塊を触れるなどの自覚症状のある時。
  • 便の潜血反応が陽性であったとき。  
  • 近親者に大腸ポリープの多発者や大腸ガンの方がおられる場合。  
  • 大腸ポリープを全て切除した後は2〜3年に1回は検査を受けましょう。
  • 潰瘍性大腸炎を発症して10年以上が経過した方は1年に1回は内視鏡検査を受けましょう。
Q3 線検査と内視鏡検査はどう違うのですか?
  • 線検査は大きな森を外からあるいは上空から観察し、内視鏡検査は森の中に踏み込んで観察するのに似ています
  • 森の外からの観察では森の地形や生えている木々の分布や位置関係、大きさなどがよく分かり、踏み込んでの観察では木や草それぞれの色や感触が分かり採取もできます
  • それと同じようにX線検査では臓器の形(変形)、病変の位置、大きさ、分布などがよく分かり内視鏡検査では病変の色や感触、出血の有無を知ることができ組織の採取も行えます
  • また、最近では超音波内視鏡により病変の内部や深さについても調べることが可能です。 
Q4 胃の検査を受けるにはどのように受診すればよいのでし
   ょうか?
 
  • 当院では原則として胃の検査は随時受け付けていますが、できれば予約のお電話をいただければ幸いです
  • 前日の夕食は普通に摂っていただき当日は絶食で(コップ1杯程度の水はかまいません)午前9時頃来院してください
  • 他の患者さんとの関係で検査終了までの時間は一定ではありませんが、少なくとも午前中には終わります。 
Q5 大腸の検査を受けるにはどのように受診すればよいので
   しょうか?
 
  • 便潜血反応であればいつでも来院してください
  • 線検査、内視鏡検査では前もって服用していただく薬や検査食の説明がありますのでとりあえず普通に外来を受診してください。
Q6 大腸の内視鏡検査の準備はどのようなものですか
  • 検査の前日は普通に夕食を摂ってください
  • 寝る前に小さな容器に入った緩下剤(水薬)を飲んでください
  • 当日の朝、水は飲んでもかまいませんが、食事を摂らないで午前9時には来院してください。
  • 来院後に吐き気を抑える薬を服用していただいた後、緩下剤(2000mlの水薬)を1時間以上かけて飲んでいただきます。
  • 午前中はお腹の痛くならない下痢が続き腸の中が完全にきれいになった午後1時30分頃から検査を開始します。
  • 検査そのものは概ね20分程度で終了します。
 大腸のX線検査の準備はどのようなものですか?  
  • 検査の前日はこちらで用意した検査食を食べていただきます。
  • 検査食以外ではキャンディー、果実の入っていないジュース
    など検査食に準じたものはかまいません。
  • 水分は十分に摂っていただいてかまいませんが、乳製品は禁止です。
  • 夕食後にこちらで用意した緩下剤を指示に従って服用していただきます。
  • 検査の当日はお渡ししている座薬をつかって排便をすませ食事を摂らないで来院してください。
  • 水を飲まれるのはかまいません。
  • 来院後は状況をみて検査を行い午前中には終了します